<熱>

小田義治は、頭を下げたままお万喜の方の前で畏まった。

この男、先刻朱鷺の蹴りを股間にまともに受けた足軽である。

「お方様、恐れながら申し上げます。」

お万喜の方は、不潔なものでも見るかのようにこの男を見据えた。

「何じゃ、進言を許してつかわそう。申してみよ。」

小田は、

「拙者、先ほどこいつに酷い目に遭わされました。この女の責め問いに加わりたく存じます。」

と申し出た。

「ふむ。して、何ぞ良い責め方でも心得ておるのか。」

お万喜の方が小田に問う。

「はっ。この女の下の口を塞ぐことで、上の口を割らせてみせます。」

小田が、下半身を誇示するように立ち上がった。

この男、五尺にも満たぬ小柄な体だったが、ずんぐりとした胴体は力を満々と湛えていた。

そして下帯辺りが、異様に膨らんでいるのが分かる。

一瞬小田の考えを理解しかねたお万喜の方だが、すぐに意を解し、

「良かろう、明朝までこの女をそなたに預けよう。ただし、殺してはならんぞ。」

そんな責めも一興と考えたのか、お万喜の方は小田の申し出を認めた。

乳首の針を荒々しく抜くことで、朱鷺に再度の激痛を与えたお万喜の方は、土蔵を出て行った。

二人のやり取りを全て聞かされていた朱鷺は、これから自分の身に襲い掛かる不幸に心を暗くしていた。

小田は嬉々として、責めの準備に取り掛かる。

朱鷺の後手縛りを解き、梁から下ろされている手械に両手を拘束して引き上げる。

両足は、三尺はある竹の両端の縄に結わいつける。

寝間着の裾が割り裂かれ、朱鷺の桃色の太腿が露になる。

経穴を突かれた影響が残っているのか、手足を動かそうにもその動作は緩慢だ。

朱鷺は、小田にされるがままだった。

いきなり、小田は朱鷺の左の乳首にしゃぶり付いた。

針を乱暴に抜かれた直後である。

殆ど出血はないもの、小田の噛み付くような吸い付きに朱鷺は悲鳴を上げた。

小田は、両手にあまる朱鷺の豊満な乳房を揉みしだく。

朱鷺の気分を高めるための行為とは思えない、荒々しさだった。

男を知らない訳でもないが、こんな乱暴は朱鷺には初めてだった。

そこには、快感も何も無い。

朱鷺の背筋に悪寒が走った。

小田は、左の乳首を唾液で浸し尽くすと満足したのか、今度は右に移る。

朱鷺の嫌悪の表情を一瞥したが、全く意に介することなく、右の乳房も左と同様にするのだった。

小田は乳房への翻弄に飽きたのか、小刀を抜くと朱鷺の寝間着の帯を切り裂いた。

抜けるように白く肌理の細かい腹部、形の整った縦長の臍、そして淡い叢が曝された。

叢の奥には、周囲の肌の色と寸分違わぬ色合いの花びらが息を潜めていた。

小田の一部始終を眺めていた燕が、

「女として生まれてきたことを後悔させておやり。」

と嗾けた。

「もとより。」

小田は、簡単に返した。

燕と朱鷺は、物心が着いたときからずっと一緒だった。

双子同然に育ち、仲の良さは格別だった。

いや、実際には仲が良さそうに見えただけである。

燕は、朱鷺を嫉妬していた。

いつも一緒に過ごすことで、常に朱鷺と比べられたのだ。

武芸の腕も、学問の出来も、書の美しさも、全てにおいて朱鷺が勝っていた。

そしてなにより、燕が朱鷺を羨んでいたのはその容貌だった。

燕もかなり美しく、所謂男好きのする顔立ちであった。

しかし朱鷺のそれは、さらに気品と優しさを備え、同性からも好かれていた。

そういった朱鷺への嫉妬が、燕を寝返らせた遠因となっていたかも知れない。

小田は、右手の指に自分の唾液を満遍なくまぶすと、朱鷺の花びらに塗りつけ始めた。

全く受け入れる用意のない女性器に、無理やり自らの物を差し入れるのは困難だと思ったからだ。

何度も何度も指先を舐っては、朱鷺の入り口を解すように塗りたくっていった。

そろそろ頃合と見たか、小田は自らのものに手を添えて朱鷺の入り口を一気に押し入った。

「うっ。」

朱鷺が、思わず呻く。

いくら唾液が潤滑剤の役割を担っているとはいえ、無理やり敏感な場所を硬い棒で擦られたのである。

破爪のときの鋭い痛みは無いが、鈍く重い痛撃に呻きを禁じることが出来なかった。

小田は、一旦最奥まで突き上げる。

朱鷺は、そのものの巨大さに驚愕した。

子宮口に、その先端が優に到達していたのだ。

体は小柄なくせに、小田のそれは八寸はありそうである。

そんなもので突きあげられては、朱鷺も堪らない。

女としての機能を壊されることが無いことだけを願って、朱鷺は目を閉じた。

小田にとっては、朱鷺の反応などどうでも良かった。

欲望の赴くままに、抽迭を繰り返す。

最初は上下動だけだったが、前後や左右の動きも加えるようになっていた。

朱鷺にとってはおぞましい限りだったが、諦めたように小田に身を委ねていた。

とにかく果ててさえくれれば、少なくとも回復するまでのひと時はこの苦しみから解放される。

そんなことを朱鷺は考えていたのだ。

しかし、小田は果てることなく延々と腰を動かし続けた。

朱鷺が、あまりの気分の悪さに胃の内容物を吐瀉しそうになったその瞬間、女性器の内奥に迸りを感じた。

ついに、小田が精を放ったのだ。

しかし、抽迭は停まらない。

朱鷺が怪訝そうに、小田の顔を覗きこんだ。

「ふははは、俺は止めんぞ。ずっとお前を犯し続けてやる。」

小田が勝ち誇ったように言う。

「お前のせいだ。今朝お前にここを蹴られてから、ずっと勃ちっ放しなのだ。血の巡りか何か分からんが、これでは外も歩けん。」

朱鷺にとっては、絶望的な事態だった。

どんなに激しく突かれても、声を上げることさえ我慢していた。

たとえ小さい音量でも声を上げることが、男の嗜虐心に火をつけると思っていたからだ。

果てることにより束の間の休息を期待していたのだが、それが全く許されないことになった。

小田のしつこい抽迭は、その激しさを増していく。

それでも声を上げない朱鷺に苛立ち、

「どうだ、気分を出せば少しは楽になれるぞ。」

小田が言う。

「好きになさい。体はいくら弄ばれようと、心までは自由にさせません。」

朱鷺が、厳しく言い返す。

性の快楽を知ってはいたが、無関心を貫くことで小田の気持ちを萎えさせようとした。

しかし、小田の反復運動は衰えを知らない。

朱鷺の頭の芯と子宮は、ジンジンと痛んでいた。

燕が朱鷺に言う。

「もう仲間の名前を吐いちまった方がいいよ。このままこの片輪もんに責められてたら、あんたのそこは使いもんにならなくなっちゃうよ。」

しかし、朱鷺は眼を閉じたまま何も言い返すことはなかった。

小田は四度目の精を発したのち、

「ちっとも面白味がない。」

と、怒張したままのそれを仕舞い込んだ。

燕は、

「責め問いに加わると言ったんだ、お前にも手伝って貰うよ。」

小田に、朱鷺を吊り上げるように命じた。

朱鷺の両手の手械はそのまま引き下ろされ、代わって左足一本が足首の麻縄で梁に引き上げられた。

丁度頭頂部が床に触れるぐらいの高さで固定され、着せられたままの寝間着の下半身部分は完全に捲れていた。

四半刻もそのまま放置されたのだろうか。

朱鷺は、頭に血が昇って生じる頭痛とは別の苦しみにもがいていた。

右足に力をこめ左足に密着させていたのだが、長時間は脚力が続かない。

しきりに左足に絡ませて、右足を保とうとするが、それにも自ずと限界がある。

朱鷺の意思に反して、右足が痙攣を始めた。

汗で額に張り付く後れ毛が、物悲しかった。

そしてついには、右足が重力に負けてしまった。

「あらあら、若い女が大股開きかい。はしたない女だね。」

燕が右足に手を添え、左足に付けるようにする。

手を添えられている間だけは、何とか右足を上げていることができるが、支えを失うとまた大開脚となってしまう。

一旦足を下ろしてしまうと、二度とは戻せないのだ。

小田も嬉しそうに、

「どれどれ、拙者が姫の中味を吟味してやろう。」

と、目を皿のようにして朱鷺のそこを覗き込む。

燕は太さが二寸もある蝋燭を取り出すと、吊り上げられている朱鷺の左足の土踏まずに直角になるよう糸で結びつけた。

蝋燭の先端が、朱鷺の体の中心線上にあることになる。

行灯から火を得ると、燕は蝋燭に点火した。

「お下品な女はお仕置きしなくちゃね。」

朱鷺は、じっと蝋燭の炎を見つめていた。

蝋燭というのは、芯に点った炎によって周囲の蝋が融けて芯に染み込み、さらにそれが気化して燃焼を続ける。

つまり、蝋燭は本来立てて使うものである。

その蝋燭が今、朱鷺の体の真上で重力に対して横向きにされているのである。

ついに、本来芯に染み込むはずの蝋が落下した。

落ちた蝋が、開かれた朱鷺の右足の太腿の内側を襲う。

「ぁっつー。」

敏感な肌に熱蝋を浴びた朱鷺は、小さな悲鳴を上げた。

「白状したくなったら言うんだよ。火を消してやるからね。」

燕が、朱鷺を問い詰める。

その間にも蝋燭は燃焼を続け、二滴めの熱蝋を朱鷺に落とした。

今度は、朱鷺の右の花びらのすぐ傍らだった。

「あっつーー。」

またもや、朱鷺は声を禁じえなかった。

燕が朱鷺の右足を持ち上げなら、

「ほら右足を上げて守らないと、大事なところが火傷しちまうよ。」

と、おどけたように言う。

「構いません。上様に捧げたこの身がどうなろうと、、、。」

朱鷺の言葉が終わらぬうちに、右足の裏に蝋涙が落ちた。

いくら足裏とはいえ、融けた直後の蝋である。

凄まじい熱さに、朱鷺が大きな悲鳴を上げた。

燕が右足から手を離すと、朱鷺の足はやはり守りの体勢を維持することはできなかった。

朱鷺は、自分の脚力の不甲斐なさが恨めしかった。

蝋の滴りが、ついに朱鷺の花びらに達した。

「ぅわっつーー!」

朱鷺は、これまでにも増す悲鳴を上げさせられた。

蝋の熱さは落下した瞬間が最高だが、蝋が肌に密着することで暫くの間は熱さに苛まれるのだ。

しかも燃焼により蝋燭が徐々に短くなり、蝋の落下点が移動する。

移動することで、常に新たな箇所を責め立てる。

手間の掛からない、極めて有効な責め問いであった。

次の落下点は、朱鷺の陰核だった。

「ぅぎあー!!」

朱鷺は、あまりの熱さに身悶えた。

熱いというより、竹刀か何かでそこを強烈に打ち据えられたような感覚だった。

悲鳴を上げさせているものの、なかなか自由にならない朱鷺に燕は苛立ちを覚えていた。

燕は、両手に点火した蝋燭を持ち、朱鷺の体中至る所に蝋を垂らした。

足の裏、脹脛、太腿、そして上半身まで隈なく朱鷺の体を蝋まみれにしていった。

なかでも、羨ましく思っていた豊満な乳房への蝋責めは苛烈を極めた。

両方の乳房が、完全に蝋の白色で覆われるまで続けられた。

朱鷺は悲鳴を余儀なくされたことと、頭部への血液の滞留で意識を失っていた。

 

 

         
 

 

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